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行政計画と行政契約とは?処分性・計画担保責任・公害防止協定の判例までわかりやすく解説

行政計画と行政契約とは?処分性・計画担保責任・公害防止協定の判例までわかりやすく解説

「行政計画って単なるプランじゃないの?」「行政契約は普通の契約と何が違うの?」――行政書士試験の勉強を進めていると、行政計画や行政契約の分野でこうした疑問にぶつかることがよくあります。行政行為や行政立法と比べると地味に見えるテーマですが、処分性の問題や計画担保責任、公害防止協定の判例など、試験で狙われるポイントがしっかり詰まっています。この記事では、行政計画と行政契約それぞれの定義・規制・救済手段について、具体例を交えながらやさしく丁寧に解説します。試験直前の整理にもぜひ活用してください。

行政計画とは何か?まず定義を押さえよう

行政計画とは、行政機関が将来の一定期間内に到達すべき目標を設定し、そのために必要な手段を提示することです。一言でいえば「行政が立てるプラン」です。

身近な例を挙げると、都市計画や道路整備計画、国土利用計画などがこれにあたります。私たちの暮らしや土地・建物に大きな影響を与えるものも多く、「知らないうちに計画が変わっていた」「信じていた計画が中止された」といったトラブルが生じることもあります。だからこそ、行政計画に関するルールや救済手段を理解しておくことが重要なのです。

行政計画に対する規制:法律の根拠は必要か

行政計画はあくまで「プラン」にすぎないため、法律の根拠がなくてもできそうに思えます。しかし、国民の行為を規制する効果を有する場合には、法律の根拠が必要であると考えられています。

たとえば、ある地域を「用途地域」として定める都市計画は、その地域で建てられる建物の種類を制限します。このように国民の行動に制約をかける効果がある計画については、法律の根拠なしに行政が勝手に定めることはできません。

計画策定手続についてのルール

計画を策定する手続きについても確認しておきましょう。行政手続法には計画策定手続についての規定は置かれておらず、計画策定手続に関する一般的な手続法上のルールは日本では未確立です。この点は試験でも問われることがあるので、「行政手続法には規定がない」という事実をしっかり覚えておきましょう。

ただし、個別の法律において計画策定手続を定めているものはあります。たとえば都市計画法では、計画策定にあたって公聴会の開催や縦覧手続などが定められています。

行政計画に関する規制のポイント

  • 国民の行為を規制する効果がある計画 → 法律の根拠が必要
  • 単なるプランにすぎない計画 → 法律の根拠は不要
  • 計画策定手続に関する一般的な手続法のルール → 行政手続法には規定なし(未確立)
  • 個別法(都市計画法など)で策定手続を定めているケースはある

行政計画に対する救済:どうやって争えるか

行政計画によって不利益を受けた場合、国民はどのように争うことができるのでしょうか。2つの救済手段について整理しておきましょう。

① 取消訴訟の提起

取消訴訟を提起するためには、行政庁の行為に処分性(行政事件訴訟法3条2項)が認められることが必要です。行政計画は処分(行政行為)の前段階の行為にすぎず、伝統的には処分性が認められないと考えられてきました。

しかし、近時の最高裁判所の判例は、具体性のある事業計画等にはできるだけ処分性を認め、取消訴訟の提起を許容する方向で動いています。行政計画への救済手段として取消訴訟が使えるケースが広がってきているということです。この点は試験でも出題されるため、「処分性を積極的に認める方向」というトレンドを覚えておきましょう。

② 計画担保責任

行政計画が途中で変更・中止された場合、その計画が存続すると信頼して土地を購入したり事業に投資したりした者が不測の損害を被ることがあります。このような場合に備えて、行政側は元の計画を維持する責任、または代償措置を採ったうえで計画を変更・中止する責任を負うとされています。これを計画担保責任といいます。

たとえば、「この地域に新しい鉄道を通す」という計画を信じて周辺に土地を購入した人が、その後計画が中止されて損害を受けた場合、行政側は何らかの補償をする責任があるという考え方です。

計画担保責任って、実際にどんな場面で問題になるの?

都市開発計画や道路計画が途中で変更・中止されたケースで問題になることが多いよ。計画を信じて投資した人が泣き寝入りにならないよう、行政に責任を負わせる考え方なんだ。試験では「計画担保責任」という名称と意味をセットで覚えよう!

行政契約とは何か?定義と種類を押さえよう

次に行政契約について解説します。行政契約とは、行政主体が行政目的を達成するために、国民と対等な立場で締結する契約のことです。行政行為が「一方的に権利義務を変動させる」のとは異なり、行政契約は当事者双方の意思の合致によって成立する点が特徴です。

行政契約は、行政の分野によってその利用度合いが異なります。

① 準備行政における契約

準備行政とは、行政機関が活動するための準備・内部的な行為を指します。事務用品の購入契約や庁舎建設の請負契約など、行政契約が積極的に利用されている分野です。私人間の契約と似たような形で、日常的に締結されています。

② 侵害行政における契約

侵害行政とは、国民の権利を制限したり義務を課したりする行政作用のことです。従来は、侵害行政の分野における行為形式は行政行為に限られ、行政契約は認められないと考えられていました。

しかし現在では、公害防止協定や、開発負担金・教育負担金など私人の寄付を要請する契約など、行政契約がまったく認められないわけではなくなっています。後述の判例もこの点に関わる重要なものです。

③ 給付行政における契約

給付行政とは、国民に対して利益やサービスを給付する行政作用のことです。この分野では契約方式を採用する法律が多くなっており、行政契約の活用が進んでいます。

【最重要判例】公害防止協定の適法性(最判平21.7.10)

事案の概要

地方公共団体が産業廃棄物処分業者との間で公害防止協定を締結し、その協定に「処理施設の使用期限」を定めていました。使用期限が経過したとして、地方公共団体が当該業者に対し処理施設の使用差止めを求める民事訴訟を提起しました。業者側は、知事がなした設置許可の本質的部分にかかわる使用期限条項を協定に盛り込むことは、協定の目的を逸脱するものであり法的拘束力がないと争いました。

結論と判旨のポイント

最高裁は、公害防止協定の法的拘束力を認める判断を示しました。

判旨では、産業廃棄物処分業者が公害防止協定において協定の相手方に対し将来事業や処理施設を廃止する旨を約束することは、処分業者自身の自由な判断で行えることであり、その結果として廃棄物処理法に基づく設置許可が効力を有する期間内に事業や処理施設が廃止されることになっても、同法に何ら抵触しないとされました。

つまり、行政と私人の間で締結された公害防止協定は、私人が自らの意思で合意した以上、法的拘束力を持つということです。この判例は、侵害行政の分野での行政契約(公害防止協定)の有効性を認めた重要判例として必ず押さえておきましょう。

行政契約に関するつまずきポイント

  • 行政契約は当事者の合意によって成立するため、内容が国民に義務を課すものであっても法律の根拠は不要(行政行為とは異なる!)
  • 行政契約でも「契約自由の原則がそのまま貫徹されるわけではない」。信義誠実の原則・比例原則・平等原則などの行政法の一般原則が適用される点に注意しよう
  • 行政契約には民法の契約規定も基本的に適用される。行政特有のルールと民法ルールが併存している点を意識しよう

行政契約に対する規制:3つの規律を整理しよう

行政契約には、以下の3つの側面からの規制が及びます。

第一に、法律の根拠の要否についてです。行政契約はその内容が国民に義務を課したり権利を制限したりするものであっても、当事者の意思の合致によって成立するため、法律の根拠は不要とされています。これは行政行為と大きく異なる点です。

第二に、行政法の一般原則の適用についてです。行政契約であっても、それが売買契約や請負契約という形をとっていても、契約自由の原則がそのまま貫徹されるわけではありません。行政契約も行政作用の一形態である以上、信義誠実の原則・比例原則・平等原則などの行政法の一般原則が適用されます。

第三に、民法の適用についてです。行政契約については、基本的に民法の契約に関する規定が適用されます。行政法のルールと民法のルールが組み合わさって行政契約を規律しているということです。

行政計画と行政契約の比較まとめ

  • 【行政計画】国民規制効果がある場合は法律根拠必要 / 行政手続法に策定手続の規定なし / 処分性を積極的に認める判例の動向あり
  • 【行政契約】当事者合意で成立するため法律根拠不要 / 行政法の一般原則が適用される / 民法の契約規定も基本適用
  • 公害防止協定(最判平21.7.10)は法的拘束力ありと判断された重要判例。侵害行政でも行政契約が使われることを示す。

まとめ:行政計画・行政契約の学習を今日から進めよう

  • 行政計画の「法律根拠の要否」「行政手続法に規定なし」「処分性を積極認定する近時の判例動向」「計画担保責任」の4点を今日まず声に出して確認しよう。特に「行政手続法には規定がない」という事実は試験で狙われやすい。
  • 行政契約の規制(法律根拠不要・行政法の一般原則適用・民法適用)は行政行為との対比で覚えると記憶に定着しやすい。「行政行為は法律根拠必要、行政契約は不要」というセットで押さえよう。
  • 最判平21.7.10(公害防止協定の法的拘束力)は過去問でも頻出。事案の流れ・結論・判旨のポイントをノートにまとめて、今日から過去問演習で確認する習慣をつけよう!