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行政行為の効力とは?公定力・瑕疵・取消しと撤回の違いをわかりやすく解説

行政行為の効力とは?公定力・瑕疵・取消しと撤回の違いをわかりやすく解説

「公定力って何?」「取消しと撤回の違いがどうしても頭に入らない…」――行政書士試験の勉強を進めていると、行政行為の効力や瑕疵の論点でつまずく方がとても多いです。この分野は用語が似ていて混乱しやすいうえ、判例もセットで覚える必要があるため、苦手意識を持ちやすいテーマです。この記事では、行政行為の4つの効力から、瑕疵・違法性の承継・取消しと撤回の違いまで、試験に出るポイントを中心に、やさしくわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、今日から試験勉強に役立ててください。

行政行為の4つの特別な効力

行政行為は、行政庁が国民に対して一方的に働きかける特殊な行為形式です。そのため、私人間の契約などとは異なる、4つの特別な効力が法律によって認められています。試験でも頻繁に問われる重要テーマです。ひとつずつ丁寧に確認していきましょう。

① 公定力

公定力とは、行政行為が違法であっても直ちには無効とならず、それが取り消されない限り有効なものとして扱われる効力のことです。

たとえば、行政庁から違法な課税処分を受けたとしても、その処分が正式に取り消されるまでは「有効な処分」として扱われます。「おかしいと思うなら取消訴訟で争え」という仕組みです。公定力があることで、行政上の法律関係の安定が保たれます。

② 不可争力

不可争力とは、一定期間を経過すると、私人の側から行政行為の効力を争うことができなくなる効力のことです。取消訴訟には出訴期間(原則として処分を知った日から6か月)が定められており、その期間を過ぎると、たとえ違法な行政行為であっても取り消しを求めることができなくなります。

③ 執行力

執行力とは、行政庁が行政行為の内容を自力で実現することができる効力のことです。私人間の契約であれば、相手が履行しない場合は裁判所を通じて強制執行をしてもらう必要があります。しかし行政行為では、一定の場合に行政庁が自ら強制的に実現できるという点で、私法上の行為とは大きく異なります。

④ 不可変更力

不可変更力とは、行政庁が一度行った行政行為を自ら変更することができないという効力のことです。すべての行政行為に認められるわけではなく、審査請求の裁決など、争訟裁断的行為と呼ばれる一部の行政行為に限って認められます。

行政行為の4つの効力まとめ

  • 公定力:違法でも取り消されるまでは有効として扱われる
  • 不可争力:一定期間を過ぎると私人から争えなくなる
  • 執行力:行政庁が自力で行為の内容を実現できる
  • 不可変更力:行政庁が自ら行政行為を変更できない(一部の行為に限定)

行政行為の瑕疵とは?無効と取り消しうるものの違い

行政行為の瑕疵とは、行政行為が法律に違反している場合(違法)や、公益に反して不当である場合(不当)のことです。瑕疵のある行政行為はすべて「なかったこと」になるわけではなく、その瑕疵の重さによって扱いが異なります。

最高裁判所の判例(最大判昭31.7.18)は、「行政行為の瑕疵が重大かつ明白である場合に、その行政行為は当然に無効となる」という基準を示しています。

つまり、瑕疵のある行政行為は次の2つに分かれます。瑕疵が「重大かつ明白」な場合は当然に無効となり、そうでない場合は取り消されるまでは有効として扱われます。無効な行政行為には公定力や不可争力が認められないため、相手方はこれに従う必要がなく、いつまでも効力を争うことができます。

「重大かつ明白」って、具体的にどんな場合なの?

たとえば、全く管轄のない行政庁が処分をしたり、処分の内容が法律上あり得ないほど明らかに違法だったりする場合がこれにあたるよ。判例をしっかり確認しながら理解を深めていこう!

違法性の承継:先行行為の瑕疵が後行行為に影響する?

違法性の承継とは、ある行政行為(先行行為)の瑕疵が、その行為を前提としてなされる別の行政行為(後行行為)の違法事由となることです。

原則として、行政行為の瑕疵はそれぞれ独立して判断すべきであり、違法性の承継は認められません。行政上の法律関係はできるだけ早期に確定・安定させるべきだからです。

しかし例外的に、先行行為と後行行為が連続した一連の手続を構成し、一定の法律効果の発生を目指しているような場合には、違法性の承継が認められることがあります。

【最重要判例】安全認定と違法性の承継(最判平21.12.17)

この判例では、建設業者が安全認定と建築確認をそれぞれ受けて建物の建築を開始したところ、周辺住民が建築確認の取消訴訟において「安全認定が違法だ」と主張しました。最高裁は、この主張を許されるとしました。

その理由として、①安全認定と建築確認は「避難または通行の安全の確保」という同一目的のために行われるものであり、安全認定は建築確認と結合して初めてその効果を発揮すること、②安全認定の存在は申請者以外に通知されず、周辺住民が速やかにその存在を知ることができるとは限らないため、安全認定を争うための手続的保障が十分に与えられていないこと、の2点が挙げられています。

違法性の承継に関する注意点

  • 原則は「違法性の承継は認められない」。例外として認められるのは先行行為と後行行為が密接に連携している場合
  • 最判平21.12.17は「安全認定→建築確認」という流れで違法性の承継を認めた重要判例。事案の流れと判旨の2つのポイントを必ず押さえよう
  • 試験では「どの行為間で承継が認められるか」という形で問われることが多い。判例の具体例とセットで覚えること

瑕疵の治癒と違法行為の転換

瑕疵のある行政行為に関連して、「瑕疵の治癒」と「違法行為の転換」という概念も覚えておきましょう。

瑕疵の治癒とは、瑕疵ある行政行為がなされたものの、事後的にその瑕疵がなくなった場合のことです。たとえば、手続上の不備があったとしても、後からその不備が補われた場合に、行政行為を最初から有効だったものとして扱うことができます。

違法行為の転換とは、瑕疵ある行政行為を別の行政行為として見直すことで適法な行政行為と扱いうる場合に、いったんなされた行政行為を維持することです。要件AとBが必要な「行政行為①」に瑕疵があっても、要件Aだけで成立する「行政行為②」として見直せば適法になる、というイメージです。

行政行為の取消しと撤回:最も混乱しやすいポイント

行政書士試験で特に混乱しやすいのが、「取消し」と「撤回」の違いです。名前が似ていますが、その原因・効果・主体がすべて異なります。

取消しとは

取消しとは、行政庁が、瑕疵ある行政行為の効力をその行為がなされた時点にさかのぼって失わせることです。「最初からなかったこと」にするイメージです。成立当初から行政行為に瑕疵があったことが原因であり、効果は遡及的(さかのぼって)に無効となります。取消しは処分庁だけでなく、その上級行政庁も行うことができます。

撤回とは

撤回とは、適法に成立した行政行為について、その後の事情の変化によりその行為を維持することが適当でなくなった場合に、その行為の効力を将来に向かって失わせることです。「これからは無効にする」というイメージです。撤回は処分庁のみが行うことができます。

法律の根拠の要否

取消しも撤回も、瑕疵のない状態を回復させるものであり国民に有利となる場合があるため、原則として法律の根拠は不要です。ただし、すでに権利や利益を与えた行政行為(授益的行政行為)を取り消したり撤回したりする場合は、相手方に不利益を及ぼすことになります。この場合は、その不利益を上回るだけの必要性が認められる場合に限り、取消しや撤回が認められます。

【最重要判例】行政行為の撤回と法律の根拠(最判昭63.6.17)

人工妊娠中絶を行いうる医師としての指定を受けていた産婦人科医が、実子あっせん行為を繰り返したため、その指定を撤回された事案です。最高裁は、「法律上その撤回について直接明文の規定がなくても、撤回すべき公益上の必要性が高いと認められる場合には、指定を撤回することができる」と判示し、撤回を適法としました。

この判例から、撤回に法律の根拠は原則不要であること、ただし授益的行政行為の撤回は相手方の不利益と公益上の必要性を比較衡量して判断されることが読み取れます。

取消しと撤回の比較表

  • 【原因】取消し=成立当初からの瑕疵 / 撤回=事後的な事情変化
  • 【効果】取消し=遡及的に無効 / 撤回=将来に向かって無効
  • 【主体】取消し=処分庁+上級行政庁 / 撤回=処分庁のみ
  • 【法律の根拠】取消し・撤回ともに原則不要(授益的行政行為は要注意)

まとめ:行政行為の効力・瑕疵・取消しを今日から整理しよう

  • 行政行為の4つの効力(公定力・不可争力・執行力・不可変更力)は、それぞれの意味を自分の言葉で説明できるまで繰り返し確認しよう。今日まず「公定力」の定義から声に出して覚えることから始めよう。
  • 瑕疵の「無効」と「取り消しうる」の区別、違法性の承継の判例(最判平21.12.17)は試験頻出。判旨の2つのポイント(同一目的・手続的保障の欠如)をノートにまとめてみよう。
  • 取消しと撤回の違いは「原因・効果・主体」の3点セットで比較表を作って暗記しよう。最判昭63.6.17の事案も過去問でしっかり確認して、今日から演習を始めよう!