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行政救済法・行政不服審査法をわかりやすく解説|審査請求の対象・適用除外

行政救済法・行政不服審査法をわかりやすく解説|審査請求の対象・適用除外

「行政に不満があるとき、どこに・どうやって訴えればいいの?」「行政不服申立てと行政事件訴訟って何が違うの?」行政書士試験の勉強を進めていくなかで、行政救済法の全体像がつかめずに悩む方は多いはずです。国や地方公共団体の行政作用によって権利が侵害されたとき、国民にはどんな救済手段があるのか。この分野は試験でも頻出であるうえ、実務的な視点でも非常に重要なテーマです。この記事では、行政救済法の全体像から行政不服審査法の目的・審査請求の対象・適用除外まで、試験に必要な知識をわかりやすく整理して解説します。

行政救済法の全体像:2つの救済方法を理解しよう

国や地方公共団体の行政作用によって国民の権利が侵害された場合、救済方法は大きく2つに分かれます。ひとつは争訟による救済、もうひとつは金銭による救済です。まずこの2本柱を頭に入れることが、行政救済法全体を理解する第一歩です。

争訟による救済:行政作用そのものをなかったことにする

争訟による救済とは、違法または不当な行政作用それ自体について争い、その行政作用をなかったことにしてもらう手続きです。争訟による救済には、さらに2つの制度があります。

ひとつは「行政不服申立て」で、行政機関自身に対して救済を求める手続きです。行政不服審査法という法律が根拠となります。もうひとつは「行政事件訴訟」で、裁判所に対して救済を求める手続きです。行政事件訴訟法が根拠となります。

この2つの制度は、法律に特別の規定がない限り、国民が好きな方を選択することができます。これを自由選択主義といいます。どちらを選ぶかは、スピードを重視するか公正さを重視するかなど、状況に応じて判断することになります。

金銭による救済:損害・損失を金銭で穴埋めしてもらう

金銭による救済とは、行政作用そのものは争わず、それによって生じた損害や損失を金銭で補ってもらう手続きです。こちらも2種類に分かれます。

「国家賠償」は、違法な行政作用によって生じた損害を補填してもらう制度です。「損失補償」は、適法な行政作用によって生じた財産的損失を補ってもらう制度です。両者の大きな違いは、補償の対象となる行政作用が「違法」か「適法」かという点にあります。

行政不服申立てと行政事件訴訟の比較

  • 行政不服申立てのメリット:スピーディーに解決できる/費用が低い
  • 行政不服申立てのデメリット:行政機関が判断するため、行政に有利な判断になりがち
  • 行政事件訴訟のメリット:裁判所という中立な機関が判断するため公正である
  • 行政事件訴訟のデメリット:解決に時間がかかる/費用もかかる
  • 法律に特別の規定がない限り、どちらを選ぶかは国民が自由に選択できる(自由選択主義)

行政不服審査法の目的:「簡易迅速・公正・広く」の3本柱

行政不服審査法の目的は、行政庁の違法または不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続のもとで広く行政庁に対する不服申立てをすることができる制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することです(同法1条1項)。

「簡易迅速」「公正」「広く」という3つのキーワードが目的の核心です。裁判と比べて手続きが簡単でスピーディーであること、しかし公正さも保たれること、そして幅広い処分を対象とすることが求められています。

また、行政不服審査法は行政不服申立てに関する「一般法」です。他の法律に特別の定めがある場合には、そちらが優先して適用されます(同法1条2項)。これは法律の適用関係において重要な原則ですので、覚えておきましょう。

審査請求の対象:処分と不作為の2種類

行政不服審査法は、不服申立ての類型を原則として審査請求に一本化しています。審査請求の対象は、①処分についての審査請求と②不作為についての審査請求の2つです。

①処分についての審査請求

「処分」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為のことです。典型的には許認可の拒否や取消しなどが挙げられますが、不法入国者を収容する行為のような「事実上の行為」も処分に含まれます(同法1条2項かっこ書)。行政庁の処分に不服がある者は、審査請求をすることができます(同法2条)。

②不作為についての審査請求

「不作為」とは、法令に基づく申請に対して何らの処分もしないことです(同法3条かっこ書)。申請をしたのにいつまでたっても返事がこない、というような状況が典型例です。法令に基づき行政庁に処分の申請をした者が、相当の期間が経過してもなお行政庁が何も処分をしない場合、その不作為について審査請求をすることができます(同法3条)。

「相当の期間」ってどのくらいの期間なの?具体的な日数は決まってるの?

法律上、具体的な日数は定められていないんだ。「相当の期間」は申請の内容や行政の実情などを踏まえて個別に判断されるものなんだよ。ただ、標準処理期間が公示されている場合は、それを大幅に超えた場合が一つの目安になるとされているよ。

適用除外:審査請求ができないケースを整理しよう

行政不服審査法は、原則としてすべての処分およびその不作為について審査請求ができるという一般概括主義を採用しています。行政の領域が日々拡大するなかで、審査請求の対象となる処分を法律上すべて列挙していくことは現実的に不可能だからです。

ただし、一定の処分については例外的に審査請求が認められない「適用除外」が定められています(同法7条1項)。適用除外の理由は大きく4つのカテゴリーに分けることができます。

第1のカテゴリーは、慎重な手続きによって行われた処分であり、審査請求を認めても意味がないものです。国会の両院・一院・議会の議決によってされる処分、裁判所・裁判官の裁判による処分、検査官会議で決すべき処分などがこれにあたります。

第2のカテゴリーは、行政不服審査法よりも慎重な手続きで処理されるべきものです。形式的当事者訴訟によるべきとされる処分、刑事事件に関する法令に基づいて検察官等がする処分などが含まれます。

第3のカテゴリーは、処分の性質上、審査請求を認めるべきでないものです。学校・訓練所等での処分、刑務所等における収容目的を達成するための処分、外国人の出入国・帰化に関する処分、学識技能に関する試験・検定の結果についての処分などが該当します。

第4のカテゴリーは、手続の簡易迅速性の観点から審査請求を認めるべきでないものです。行政不服審査法に基づいて行われる処分そのものがこれにあたります。

試験でつまずきやすいポイント

  • 行政不服申立てと行政事件訴訟は「自由選択主義」が原則。どちらかを先に行わなければならないというルールは原則としてない
  • 「不作為」の審査請求ができるのは「法令に基づく申請」をした者のみ。申請をしていない場合は対象外
  • 外国人の出入国・帰化に関する処分は適用除外。国籍に関わる高度に政治的な判断が必要なためと理解しよう
  • 行政不服審査法は一般法なので、他の法律に特別の定めがある場合はそちらが優先される
  • 一般概括主義=原則として全ての処分が対象。適用除外は「例外」であることを忘れずに

行政書士試験の勉強法:全体像から各制度の特徴を整理しよう

行政救済法の分野は、複数の制度が並立していて全体像がつかみにくいと感じる方が多いテーマです。しかし、「争訟による救済(不服申立て・行政事件訴訟)」と「金銭による救済(国家賠償・損失補償)」という2本柱を最初に頭に入れることで、各制度の位置づけが明確になります。

特に行政不服審査法については、「目的(簡易迅速・公正・広く)」「審査請求の対象(処分・不作為)」「適用除外の4カテゴリー」という3つの軸で整理するのが効率的です。適用除外については全件を丸暗記しようとせず、それぞれの除外理由を理解することで記憶への定着が格段に高まります。

今日から取り組めることとして、まず行政救済法の全体像を図にまとめてみましょう。争訟と金銭の2系統に分け、その下に各制度を配置するだけで、試験に必要な知識の骨格が1枚の図で確認できるようになります。

まとめ:行政救済法・行政不服審査法、今日から整理しよう

  • 行政救済には「争訟による救済(行政不服申立て・行政事件訴訟)」と「金銭による救済(国家賠償・損失補償)」の2本柱がある。どちらを選ぶかは法律に特別の規定がない限り自由選択主義が原則
  • 行政不服審査法の目的は「簡易迅速・公正・広く」の3本柱。審査請求は原則すべての処分・不作為を対象とする一般概括主義を採用
  • 適用除外は「慎重な手続きで行われた処分」「より慎重な手続きで処理すべきもの」「性質上認めるべきでないもの」「簡易迅速の観点から認めるべきでないもの」の4カテゴリーで整理しよう
  • 今日からできること:行政救済法の全体像を2系統4制度で図にまとめ、各制度の特徴と違いをノートに整理してみよう